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第2回 ESGセミナー開催 
~インパクト投資の可能性~

JICグループは10月29日、慶應義塾大学大学院講師で社会的インパクト測定に関する研究実績があり、研修や講演実績の豊富な岩本隆氏を迎え、グループ全役職員を対象に、第2回ESGセミナーを開催しました。JICは2023年に国連責任投資原則に署名し、ESG方針を策定しています。本セミナーでは、ESGを軸としたインパクト投資をはじめ、長期的な視点が求められる分野への投資の重要性について理解を深めました。

インパクト投資について説明する岩本氏

岩本氏は環境・社会・ガバナンスを考慮してリスクを回避する「ESG投資」から、財務的リターンと同時に社会的インパクトを意図的に生み出す「インパクト投資」への進化について説明しました。さらに、投資先が社会に与える影響を適切に評価することの重要性を示し、「投資によってどれだけ社会的コストを削減できるか」「どれだけ経済効果を創出できるか」を判断するための指標を提示しました。加えて、医療、介護、インフラ、教育などの分野における具体的な投資事例を紹介しました。また、岩本氏はスタートアップにおけるインパクト投資はまだ事例が少ないものの、徐々に増え始めているとして、社会的インパクトを伴う新たなスタートアップの成長に期待を示しました。

岩本氏はさらに、投資リターンだけでなく「産業革新を実現できたか」を指標とすることが重要だと強調しました。新しい産業を創造し、成長を促すことこそがインパクト投資の本質であり、そのためには官民の連携に加え、多様な分野の専門家を束ねる「ビジネスプロデューサー」の存在をはじめとした、イノベーションを生み出す環境の整備が不可欠であると指摘しました。

JICグループは今後もESG方針に基づき、経済社会全体の持続的な価値向上に資する投資活動を推進してまいります。


セミナー終了後、岩本氏とJIC代表取締役社長CEO横尾との懇談では、社会的課題の解決にとどまらず、いかに持続可能なビジネスモデルへ転換し、リターンを生み出すかというインパクト投資の本質を軸に、課題や可能性について意見交換が行われました。

セミナー後の懇談の様子(写真:岩本氏)

横尾は「日本では社会的意義が示されていても、ビジネスとしての展開力や収益性に関する説得力が十分でないため、最終的な投資判断に至らないケースが多い」と課題を指摘しました。岩本氏は官民連携の重要性に触れ、「近年その機運が高まってきた」とコメントしました。これを受けて横尾も、「民間の人材が持つ知見、経験、ノウハウを結集し、投資という手段で政策目的を実現する」というJICの役割に言及し、その使命を強調しました。

セミナー後の懇談の様子(写真:JICの横尾社長)

最後に岩本氏と横尾は、社会的インパクトのある事業を支えるためには、分野横断的な知見を集約し、産業の新たな枠組みを構築する「ビジネスプロデューサー」の存在が不可欠であるとの認識を共有し、産業革新に向けた人材育成と官民の連携強化の必要性を確認し合いました。