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DE&I

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【連載】JIC VGI投資先
スタートアップ
DE&Iご紹介 
第3回
株式会社KOMPEITO

JICグループでは「DE&Iは多様な視点を取り入れ、イノベーションを誘発し、競争力を向上させるために必要である」との確信のもと、DE&I推進に積極的に取り組んでいます。国内のファンド業界やスタートアップ・エコシステムにおける多様性の推進などを目的として、20237月にDE&I推進を公表し、社内外において様々な取組を進めています。本年12月にはJICグループにおけるDE&I推進の意義・目的を明記したDE&I推進ポリシーを策定し、DE&I推進に関する目標も決定しました。本連載では性別や年齢、国籍、障がいの有無などによらない多様な人材の活躍推進や仕事と育児の両立支援、自分らしいキャリアや働き方の尊重などにおいて先進的な取組を行い、DE&Iを体現するJIC VGIの投資先企業にご登場いただきます。投資先企業をサポートするJIC VGIの担当キャピタリストを交えてお話を伺いました。第3回は株式会社KOMPEITOをご紹介します。

好岡 利香子/Rikako Yoshioka

株式会社 KOMPEITO 取締役COO

大学卒業後、株式会社リラク(現メディロム)に入社。“稼ぐ広報"を掲げ、PRに従事し当時最年少マネージャー就任。その後は通信会社での広報を経て、 2017年に株式会社KOMPEITO入社。営業、マーケティング、広報担当などを経て、2018年執行役員CMO、2020年取締役就任。2023年より現職。

大山 廉織/Reo Oyama

株式会社 KOMPEITO PR・ブランディンググループ PRチーム所属

1994年8月11日沖縄県出身。2021年からパラバドミントン競技に取り組む。
<主な戦績>
2023年 HULIC DAIHATSU Para Badminton International 2023 シングルス(WH1)ベスト16、ダブルス(WH1-WH2))ベスト16
2024年 第 9回 DAIHATSU 日本障がい者バドミントン選手権大会 シングルス(WH1)準優勝、ダブルス(WH1-WH2))準優勝

別府 真由美/Mayumi Beppu

JICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社 ベンチャーキャピタリスト

大学卒業後は日本貿易振興機構(ジェトロ)にて貿易投資政策や排出権取引等に関する調査を担当。世界銀行傘下のThe Climate Investment Fundsを経て、2014年産業革新機構(現INCJ)に入社、現在はヘルスケア・クライメートテック・教育等の社会課題の大きい領域への投資に従事。2020年8月よりVGIに参画。

子育てからプロスポーツ競技まで、丸ごと支援

 働き方の改善や健康経営への貢献を目指す株式会社KOMPEITO。様々なバックグラウンドを持つ従業員のパフォーマンスを最大限引き出すためのユニークな施策について、取締役COOの好岡さんが本音トーク。パラバドミントン選手としても活躍する従業員の大山さんも登場!

―KOMPEITOの事業について教えてください。

好岡COO(以下「好岡」) 現在は「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」という事業がメインです。福利厚生のサービスとして、オフィスや事務所に冷蔵庫を設置し、定期的にサラダやお惣菜、フルーツなど健康的な食事をお届けしており、従業員の皆様は1100円などのお値段で商品をご購入いただけます。企業やホテル、クリニックなど業種を問わず導入いただいています。従業員の皆様が健康的な食事にアクセスしやすい環境を作り、働き方の改善や健康経営に寄与していけたらと考えています。

JIC VGI担当キャピタリスト別府(以下「別府」) キャピタリストとして、投資判断においては事業計画を評価し、厳正なDD(デューデリジェンス:投資対象の企業や価値、リスク等の調査)を行っていますが、渡邉代表が自社の商品に誇りを持たれているのも強く響きました。

―様々な人材の活躍を後押しする「OFFICE DE YASAI」ですが、社内でも多様な人材の活躍のために工夫していることはありますか。

好岡 リモートワークやフレックス制度、時短勤務などは活用しやすくすることで、働いている場所やライフスタイルに関係なく、働きやすい環境を目指しています。時短制度では勤務時間帯も本人の意思を尊重しています。

別府 弊社の初回出資(シリーズC)以降、従業員が増えていますね。

好岡 女性従業員も増える中で課題が見えてきて、出産後に職場復帰してから次回評価時期まで(半年以上)は、時短勤務でもフルタイム勤務時と同額の給与を保障する制度を導入しました。まだまだ不安定な時期で出費もかさむのに収入が減ると大変なので、仕事と子育ての両立の準備を支援するため、代表の渡邉が発案しました。

―時短勤務とフルタイム勤務の評価基準に違いはありますか。

好岡 評価基準に違いはありません。業務内容によりますが、基本的には当社は働いた時間で評価するのではなく、いずれも如何に能力を発揮しアウトプットできているかを見ています。

―アスリート支援にも取り組まれていますね。

好岡 プロアスリートの従業員は、競技活動の時間も上限を設けて出勤扱いとしたり、平日の試合時や合宿参加には特別休暇を付与したりしています。夢を応援するための試みですが、根気強さなど、アスリートの特性が発揮され、業務でも活躍いただいています。

―女性取締役として、日本で女性の取締役が少ないことについて、どのように感じていますか。

好岡 大前提として、性別に関わらず能力や適性をフラットに評価すべきだと考えていますが、やはりライフスタイルの変化による影響を大きく受けるのは女性ですので、女性を取締役などのポジションに選出しにくいと思われてしまう、女性自身もそういったポジションに就くことを躊躇する現状を変えるための施策が必要だと思います。例えば、役員は育児休業給付金が支給されないなど育児休業中の賃金が保障されない現状についても、何らかの対応が必要かもしれません。当社としては制度がないのなら自分たちで作ろうというスタンスなので、自分自身も体験しながら何が必要なのかを考え、組織に落とし込んでいきたいと思います。

―取締役になる年齢は妊娠や子育てと重ならないという固定観念があるのかもしれません。

好岡 そういった固定観念は他にもあると思います。日本では家事や育児のアウトソースがまだまだ一般的ではないように感じます。女性活躍の推進を本気で目指すなら、こういったところも変革が必要だと思います。

■KOMPEITOに勤務しながら、パラバドミントン選手としても活躍する大山廉織さんにもインタビュー

ー入社の経緯について教えてください。

大山さん(以下「大山」) アスナビ*のアスリート就職支援事業を通じて、お声掛けいただきました。

―合宿や遠征などもあると思いますが。

大山 出社できないことも多いのですが、オンライン会議などで密にコミュニケーションをとっています。アスリート就職の場合は出社しなくてよいという企業もありますが、私自身は会社と繋がっていたいと考えています。

―多様な人材が活躍する社会や企業の実現のために何が必要だと思いますか。

大山 私は2019年に障がいを持ち、言葉が適切か分かりませんが、健常者として当たり前だったことが突然出来なくなり、生きづらいと感じることが多くありました。バリアフリーが推奨されているとは言え、車椅子ユーザーや身体障がい者が不便を感じることは沢山あります。マイノリティの方たちが社会で活躍、活動していく中で、あまり意識してしまうと、マイノリティもマジョリティも過敏になり過ぎることがあると思いますので、健常者と障がい者という線引きを意識せずに、お互い思いやりを持って共存していくことで、お互いきちんと生活できるのではないかと思います。

*企業と現役トップアスリートをマッチングする、JOC(日本オリンピック委員会)の就職支援制度